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タイトル: 細胞の変性と死
その他のタイトル: DEGENERATION AND DEATH OF CELLS
著者: 中村, 忍
キーワード: cell degeneration
cell death
apoptosis
oncosis
necrosis
発行日: 2009年12月31日
出版者: 奈良医学会
奈良県立医科大学
引用: Journal of Nara Medical Association Vol.60 No.5-6 p.137-148
抄録: 細胞は老化,あるいは物理的,化学的な傷害によって変性を起こすが,変性が進 行し不可逆的な変化が生じた時点で死に至り,この後は死後の変化を辿る。この一連の過程が どのようなものであるか,未だ明らかになっていない。約半世紀以前から細胞採取法の開発が 進み,これにより病変部位から新鮮な状態で細胞を得ることが可能になり,変性した細胞に基 づいて作成された癌細胞の診断基準では判定しきれなくなってきた。細胞の変性過程を理解す ることは,臨床上,良,悪性細胞の診断を行う細胞診にとって極めて重要なことである。この ような観点から細胞の変性過程を実験的に観察するとともに,細胞死についても検討を行った。 その結果,新鮮な癌細胞では,これまで重要な判定基準であった核クロマチンの粗剛化は見ら れず,変性とともに出現することが分かった。細胞質と核の変性速度を比較すると,腺癌細胞 では細胞質の変性が核の変性に比較して速く,一方扁平上皮癌細胞では逆の結果であった。良 性細胞の変性速度は癌細胞に比較して速く,細胞種により細胞質と核の変性速度に差異がみら れた。生理的にあるいは突発的に起こる細胞死の形態学的観察では,細胞の自殺であるアポト ーシスと事故死に相当するオンコーシスについて,実験結果を基に概説した。とくに色素排泄 試験を用いた細胞死の検討では,色素排泄能の消失とともに細胞質の膨化が観察され,オンコ ーシスは細胞死を表す変化のひとつであると考えられた。細胞の変性,死,および死後の変化 を理解するためには,丹念な形態学的観察が必要であることを強調した。
URI: http://hdl.handle.net/10564/1097
ISSN: 13450069
出現コレクション:Vol.60 No.5-6

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