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タイトル: 神経系細胞の損傷応答と分化 転写調節因子の機能解析を通じて
その他のタイトル: MOLECULAR MECHANISMS OF INJURY-RESPONSE AND DIFFERENTIATION OF CNS CELLS-WITH SPECIAL REFERENCE TO TRANSCRIPTION FACTORS
著者: 和中, 明生
キーワード: gliosis
differential display
CREB
LIM-homeodomain gene
knock out mouse
発行日: 2003年2月28日
出版者: 奈良医学会
奈良県立医科大学
引用: Journal of Nara Medical Association Vol.54 No.1 p.1-12
抄録: 神経系細胞の損傷応答メカニズムと分化メカニズムについて,我々が同定した転写調節因子を軸に研究を行った。損傷応答に関しては特にグリア細胞の反応,グリオーシス現象に焦点を絞り培養細胞を用いたDifferential display法による遺伝子スクリーニングからCREBファミリーに属する新規遺伝子OASISの同定に成功した。OASIS蛋白はIn vitroの系で転写活性化能を持ち,in vivoでは脳損傷部位周囲のアストロサイトに発現する特徴を持つ。我々はOASISが従来から言われているグリオーシス組織の神経再生阻害作用に関与していると考え,現在この仮説を検証している。また脳損傷部位においては神経,グリア双方に分化しうる幹細胞の存在が注目されてきているが,我々も組織化学的手法を用いてこの幹細胞がアストロサイトへと分化する傾向が強いことを見出し,上記のOASISの機能と併せて損傷部位におけるグリア細胞の動態を検討している。分化メカニズムに関しては我々が同定したLIMホメオドメイン遺伝子ファミリーの一員であるL3/Lhx8の機能解析を行った。L3/Lhx8は胎生期の前脳基底部と口腔周囲に特異的に発現する特徴を持つ。LIMホメオドメイン遺伝子群は押しなべて組織,細胞の分化の制御のキー因子であることがノックアウトマウスの作成により次々と明らかとさ れてきている。そこで我々も同遺伝子のノックアウトマウスを作成したところ,前脳基底部から発生するアセチルコリン作動性神経細胞の特異的脱落と口蓋裂の発生を認めた。前脳基底部のアセチルコリン作動性神経は記憶,学習機能に重要な役割を果たしており,L3/Lhx8遺伝子が高等動物の高次機能発現に不可欠な因子であることが示唆された。
URI: http://hdl.handle.net/10564/90
ISSN: 13450069
出現コレクション:Vol.54 No.1

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